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最高裁判所第二小法廷 昭和57(オ)70 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人らの負担とする。

理 由

上告代理人瀬上卓男の上告理由第一点二について

不動産の占有者が民法一六二条二項所定の取得時効の要件を具備した場合、右占

有者は、時効期間の経過後右不動産の占有を喪失しても、これが時効利益の放棄に

該当しない限り、右時効の援用権者として、これを援用しうるものというべきであ

り、また、いわゆる他主占有を自主占有に変更せしめる原因が複数存するときには、

時効の援用権者は、それらを選択的又は予備的に主張することができるものと解す

べきである。したがつて、原審が適法に確定した事実関係のもとにおいては、訴外

亡Dの本件係争地中黄色部分の土地の占有が本件調停により自主占有に変更したも

のとしたうえ、同訴外人が右土地を時効により取得したとし、その相続人である被

上告人B1、同B2、同B3、同B4及び同B5が右時効を援用しうるとした原審

の判断は、正当として是認することができる。所論は、右と異なる見解に基づき原

判決を論難するものにすぎない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用すること

ができない。

同三及び四並びに上告理由補充陳述書記載の上告理由について

所論の点に関する原審の事実認定は、原判決挙示の証拠関係に照らして是認する

ことができ、その過程に所論の違法はない。右事実関係のもとにおいては、訴外亡

Eの本件係争地中茶色部分の土地の占有が、また、訴外亡Dの本件係争地中赤色、

黄色及び青色部分の各土地の占有が、いずれも本件調停の成立により自主占有に変

更となつたとした原審の判断は、正当として是認することができる。原判決に所論

の違法はなく、論旨は採用することができない。

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よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意

見で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第二小法廷

裁判長裁判官 宮 崎 梧 一

裁判官 木 下 忠 良

裁判官 鹽 野 宜 慶

裁判官 大 橋 進

裁判官 牧 圭 次

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